毛髪のあらまし
毛髪は、皮膚の一部が変化したものです。胎児の時に皮膚が陥没して毛嚢ができ、その下端の毛母で細胞分裂が行われて毛髪が成長してきます。頭皮内(毛嚢中)にある部分を毛根、頭皮外に出している部分を毛幹と言います。 毛髪の細胞増殖は、毛母部分でしか行われません。そして増殖した細胞はまもなく増殖能力を失って角化して順次上へ上へと押し上げれます。つまり毛髪は爪と同様に根元から伸びるのです。 
毛髪は、硬タンパク質ケラチンからできてい。タンパク質は各種のアミノ酸が集まったものですが、毛髪のタンパク質はほとんどのアミノ酸を含み、中でもシスチンというイオウを含むアミノ酸が多いのが特徴です 太さは日本人の平均で85ミクロン(85/1000mm)で本数は約10万本です。それが4〜6年を周期的に次々と生えかわっています。また断面形は円に近い楕円形が多く見られますが同一人でも1本1本で形がちがっています。
役割としては、寒さや暑さ、衝撃からの保護がある一方、装飾としての意味も大きいといえます。毛髪を美しく保つ事はいつもの世でも大切に考えられています。
毛髪の基本構造
外側から表皮、皮質、髄質の3重の構造
 
 
毛髪の成長と色
長さには限界があり、色はメラニン色素による
1ヶ月で約1cm伸びる ヒトには毛替わりの季節がない
 毛髪は1日では約0.3mm伸びます。この割合で計算と1ヶ月では約1cmになります。また、18cmの毛髪の毛先は約1年半前にできたものといえます。  動物には、毛替わりちいって、一定の時期にいっせいに毛が生え替わることがありますが、ヒトの場合ではこれがありません。四季を通じていつでも生え替わっているのです。
周期的に生え替わる メラニン色素は毛根でつくられる
 毛髪は一定期間伸び続けると成長が止まって脱落し、しばらく間をおいてから同じ毛のうからまた新しい毛髪が生え出します。つまり毛髪には成長期と休止期の繰り返しがありこれをもう周期(ヘア・サイクル)と呼びます。 毛周期は成年男子で3〜5年同女子では4〜6年ぐらいです。したがって、ロングヘアにもおのずと長さの限界があるといえます。  毛根の最下部のメラノサイトと呼ばれる色素細胞でメラニンが合成され、皮質中に顆粒状に分散します。このメラノサイトの機能がなんらかの原因で故障したり老朽化すると、メラニン色素を欠く毛髪つまり白髪が生える事になります。 
毛の長さの限界は人種によってちがうといわれる 黒髪もブロンドもメラニン色素
日本人       70〜80cm  毛髪の色には、黒、茶、金色などいろいろありますが、すべての皮質の中に含まれているメラニンと言う色素によって色が出てくるのです。毛髪の色は、メラニン色素の量と種類によって決まります
    中国人、蒙古人    1m       ブリーチ剤はメラニンを分解する
欧米人         60cm  皮質のメラニンが分解されると毛髪の色は淡くなります。
黒人          30cm
毛髪の発生
頭皮から栄養を受けて毛根でつくられる
毛髪の太さと断面形状
毛髪の太さも形も変化に富んでいる
日本人では円に近い楕円形が多い 縮毛はねじれている
 毛髪は非常に多様化で、太さや断面形状もさまざまです。同じ人でも毛によってずいぶん差があります。
日本人の場合では、断面形は円に近い楕円形が多く、太さは50〜150μ、
平均85μ程度です。
 縮毛は断面が異常であるばかりでなく、ひとねじりしている毛髪です。、生まれつき(毛根をつくる鋳型ともいえます)が湾曲しているため、そこでつくられる毛髪がねじれて生えてくると考えられます。このため、縮毛を伸ばす処理をしても、次に生えてくる毛髪はやはり縮毛にしかなりません。
縮毛の断面形状はひずんでいる ●縮毛は損傷しやすい
 一般に断面は直毛ほどに近く、ウエーブのある毛や縮毛は扁平な楕円形や三角形になります。  縮毛はねじれているため、コーミングやブラッシングの際ひっかかり損傷が起こりやすくなります。日常の手入れの当たっては無理な力を加えないよう特に注意する必要があります
毛髪の横断面切片 縮毛の断面
円形からはかなり離れた扁平な形をしています

縮毛の側面
  非常に強くねじれています。ねじれ部には、スケールの剥離などの損傷が見えています
 
ひとりの人の毛髪
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